連詩「赤橙」
のべるぶ
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【赤橙】
作:せしぼん&にょすけ
ドアノブには天使が居た。
「さよならだね」と泣く君の、
頬は夕焼けと同じで、
愛のない世界のそれと
全く同じだった。
銀色の鍵は冷たくて、
燃えているなんて嘘みたい。
「許さない」
胸の奥を激しく叩いて
溢れんばかりの悪魔が咲いた。
連立方程式の午後。
紐解くこともできない、できない指。
「結ぶのでもなく」
「切るのでもなく」
「ただ、」
「ただ繋いだんだ。」
愛のない世界。
I know 無い正解。
芽吹きの朝焼けを怖れて
解けないこの指を
メンデルが笑ってる
さんせいのはんたい
紫陽花の露が枕を濡らした
愛のない世界。
I know 無い正解。
ブルーベリーなんてくそくらえ
扉を開く。開いたあと。
差し込むのは赤橙が洩れた、
さんせいのはんたいの、はんたいだけ。
ぜんぶぜんぶ、君が言ったからだ。
そのまま呪うみたいに
咲いた悪魔をいかしつづけて。
ブルーベリーなんて、くそくらえ
20番目の悪魔が咲いて
するりするりと解けていく指
頬と、夕焼けと、紫陽花と、
扉の中のながい夜の向こう
今にも燃え尽きそうな「さよなら」は
愛のない世界を踏み抜いて、踏み抜いて、踏み抜いて
遥か遠き赤橙へ進む。
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