連詩「言葉で殴り抱きしめる」
のべるぶ
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【言葉で殴り抱きしめる】
作:かに&にょすけ
広辞苑で殴られるような衝撃
言葉のジャブはいつしかレーザービームのようにオマエの心臓を打ち焦がし貫き
血を抜きながら、その狭い血管を言葉で埋め尽くして駆け上がり脳を揺らす
心の衝撃から頭に響く
言葉はエネルギーコストの低いパンチだ
クリティカルヒットを続ける
脳天を揺らした言葉は
好き、でも嫌い、でもない
なんてことは無い窓の外の出来事を
うまく塗り固めたお前の人生だった
跳んだ視線の先に嘘も本当もない
倒れる事すらもその言葉は宇宙だ
口から 手から 放たれる言葉と文字
ニューロンをスパークさせながら言葉の宇宙に星がまたたく
悪意を孕むただ吐き出された言葉
打ちのめすための言葉
暴力的に生まれて隕石のように飛び焦げ臭く消えていく
痛みを伴う言葉は誰かの大気圏を燃え尽きることなく突破しクレーターを作った
爆発しろ、とアポロが言った
エイトビットチューンの応戦
びがびがと送信されたクリエイトの数々が
光る文字となった天の川となった
流れては消えてまた後頭部にぶつかる
その繰り返しそのぶり返し
「ころしてしまうことも」
「できるんだぜえ」
「オイラは」
くらむ、ぼんとなって
爆笑しろと、アポロが言った
殴った言葉が クリン ゴンと返ってくる
「ころされてしまうこともできるんだな」
心を刺されて、頭を揺らされてざぶんと水面に落ちる
水の中じゃ言葉は泡になって 吐き出そうとして侵蝕される
かぷかぷ わらう
ぷかぷか さらう
澄み切ったからだに、染み渡るように
言葉も文字も、そうして、そうなって
消えてしまえればいい、言葉と共に
流れてしまえればいいと
願っては、願った、願ったあと
水底で空を見れば、どちらが空かわからなくなって、
全部水に溶けてしまった
火のような衝動は、水の中で消えて、流れて世界に溶けていく
自分が世界の血管に溶けて流れていく
ああコレも言葉
言葉のジャブはいつしかレーザービームのようにオマエの心臓を打ち焦がし貫き
夕焼け、落ちていた長靴、横切る猫、手の甲で拭いた流血
文学の血潮、垂れる、垂れた
星、たぶん星あれも
呼吸をするように
ああコレも言葉
爆発したアポロ ビットチューンの弾丸 ビカビカと光クリエイトの文字
宇宙に繋がる夜空 闇の中の光
「いかしつづけることも」
「できるんだぜ」
「だれもが」
言葉で定義できない張り裂けそうな感情
言葉が全てを表すことはできないけれど
言葉が優しくなだめる
通学路、夕飯のカレーの匂いのように
冬の朝の下駄箱のように
ふとした小さな親切のように
不意に思い出した宝石のような思い出のように
ああコレも言葉
顔をあげる。
原稿用紙から溺れかけた自分を
すくい上げるように。
「つむぎつづけることも」
「できるんだぜ」
「だれもが」
抱きしめた文字は、焦げたにおいがした。
そうコレも言葉。
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