渡良セシボン

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連詩「あかり」

【あかり】作:渡良セシボン&香澄それは、灯ったやわらかく私の手の中にまっくらな世界にそれは輪郭をあたえた 空っぽのカンテラから色彩があふれ出して走り出す軌跡に海が砕けるそこに虚実などなかったカンテラはまるで灯台のように手の中のぬくもりは星のようにまだ巡り合わないふたりはふたりぼっちふたりぼっちは確かな光を眼に映す夜空を泳ぐ方舟が瞬く星を帆に受けてふたりぼっちが夢で歩いた雲霞の街へ沈んでく花が散ったら逢いましょうフリージアの咲く丘で背表紙にぼんやり瞬く光旅のみちづれはあの絵本栞にした夢の花記された君の名前が薄れていく歩き疲れた旅の途中灯りはひとりぼっちの影だけ作る ひらひらと空から落ちた小さな星が水鏡へと溶けてゆく世界の片隅、しぼんだ影水面が映す銀河の花火ひとりぼっちの眼にはこぼれるほどの光が弾けひとつしかない宝石をなくさぬように水底に隠した静かなここは さみしい場所なんにも見えないこの場所で宝石は静かに光を育くんでいくそれは散った花火より上にあがりとうとう ふたりぼっちを照らしだすあわあわ雲の夜空に丘への道を照らしだす 逆さまでも、届かなくてもこのあかりだけが道しるべ散った銀河の花弁がふたりぼっちの丘に咲く愛しさと幸せを抱くようようのきれいな日々に祝福を咲いたあかりに、祝福を。

【読者を釘付けにし観客が湧き上がるシナリオの秘訣】「THE LAST SONG」の面白さを紐解く【読む会】

◆はじめにこんにちは、せしぼんです。今回は5月に開催された「リューネシアサーガ 美学怪盗からの挑戦状」にて一位に輝いた「THE LAST SONG」(作:にょすけ)を例に挙げ、その「面白さ」のエッセンスに迫っていきます。「リューネシアサーガ 美学怪盗からの挑戦状」には6名のライターによる作品が集まり、ノベルニアという世界のとある逸話が各ライターによってどのように描かれるのか?が楽しめる非常に盛り上がるイベントとなりました。―――そして僕らはにょすけさんに挑み、敗けた。敗けて、ただ楽しかったと言って終わってしまったら、なんの成長もない。相手の素晴らしい部分を見て学ぶところまでがセットで「勝負」だ。学びを通してみんなと互いに切磋琢磨していけたら、それはとっても素敵なこと。そんな願いを籠めて、本記事を寄稿したいと思います。◆読者を釘付けにし観客が湧き上がる「面白いシナリオ」とはなにか?あなたは作品を書いて読んでもらったら、読者にどんな感情を抱いてほしいだろうか?「超面白い」「感動した」「最高」「大好き」「時間も忘れて読み切ってしまった」「夢中!」そんな言葉が貰えたら最高だと僕は思う。そんなシナリオにするためには、【読者の興味を惹きつけ感性を刺激し、「面白い」と思わせ続ける】事が必要だ。(※【重要事項①】)より大きく、沢山の「面白い」を作品に散りばめることができたなら、それだけ読者は夢中で読み進めてくれるし、飽きて途中で集中力が切れてしまうなんてことはなくなる。脚本術や色々なテクニックはそのためにある。それは読み手が作品のタイトルや表紙を目にした瞬間から始まり、あらすじを見たときにも、シナリオの最初の一行を見たときにも、ずっと絶え間なく続いている。「なんかつまんないな」と思われたら読まれることはないし、逆に「面白い」が続いていれば最後まで読んでもらえる。それが及第点に達しているかいないか、満点にどれだけ近いかというところを意識して今後の創作に臨みたい、と自身に思う。◆今回取り扱うシナリオ